えのもとさんの読書日記

読むことで、思考が広がる。考えが広がる。みなさんに新しい視点を提供します。

まるで話を聞いてもらっているかのような、読後感「聞く技術 聞いてもらう技術」

久しぶりに本の紹介をしたいと思います。

 

今回紹介するのはタイトルにもある通り、

東畑開人さんの聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書)です。

 

聞く力」というと、

元首相である岸田総理も「聞く力」をアピールしています。

(実際に機能してるかは別の話ですよ!」

 

で、この本に書かれていることは、

「聞く力」=「聞く技術」について書かれているものではないということ。

この点が、一番オススメの理由です。

 

なぜかと言うと、

・聞く力が足りない

・聞く力、傾聴を鍛えないと!

と、既に出版されている書籍たちは主張してきます。

 

しかし、聞く力は大事だ!と国民的教育の

カリキュラムに入って、全員が聞く力を持ったとしましょう。

 

全員が聞く力を発揮すると、喋る人がいなくなるんですよ。

本当の意味で。

 

相手から話を引き出すための会話はしますが、

それってセールストークじみていたり、

「この人はこの言葉が欲しいんだな」と

欲しい言葉を相手に与えることになってしまうんですよね。

 

それが良いか悪いか?ではなく、

「タテマエ」の会話が増えることになって、

全員が本音で話そうとしなくなることに、私は危機感を持ちます。

 

そこで、聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書)

聞く技術ではなく、「聞いてもらうための技術」を発揮します。

 

みんな、聞く力や傾聴が大事だと言っていても、

本音では「自分の話を聞いてほしい」と思っている。

 

じゃあ、聞いてもらうためにどうすればいいか?

気持ちよく、自分の話を聞いてもらうためには

どうすればいいのか?

 

カウンセリングを通して分かった「聞いてもらいたい人」の例から、聞いてもらうための技術がいかに大事かを説明してくれます。

 

「悪口で会話の糸口を」とか「トイレに頻繁に行って心配してもらったところを、話を聞いてもらうきっかけに」とか。

なかなかに面白いアイディアが含まれています。

(使ってる人も、いそうですね)

 

そんな聞いてもらう技術について理解を深め、

相手の話も気持ちよく聞けるようになる。

 

このゴールに興味が湧くかは別として、

読み進めているうちに作者と会話をしているかのような

聞いてもらっているかのような感覚になれますよ。

 

読んでいて、親戚のおじちゃんと話しているような気分になれました(笑)